過つは彼の性、許すは我の心 弐



 男の言葉と共にズラリと何処からとも無く人が現れた。

 ドッグラン達だ。

 クソ…!まだこんなにいやがったのか!

 身体を立て直し、周囲を警戒する。


「お連れ様には私が手塩に掛けた精鋭がお相手させて頂きましょう」


 複数の相手が俺を取り囲み、惣倉と分断された。


「さあ早く…」


 チワワは片手にナイフを構えた。

 ドッグラン達も一瞬にして、武器を取り出す。

 ただこの中でも1番ヤバいのは確実にあのチワワ男だ。


「惣倉!スマン!持ち堪えろよ!」


 俺もこんな連中相手に負ける気は無いが、何せ相手は武器持ちで多数だ。

 これは時間が掛かる、それまでは惣倉が持てば…。

 そんな俺の思いとは裏腹に惣倉が、


「カール」


 ボソリと呟く。


「は?」


 チワワ男が怪訝そうにする。

 俺も何で今?となったが、急に廊下を照らしていた照明が消える。


「ーーーこう言う時は使える」


 暗闇に包まれた時、何故だか惣倉の声だけがやけに響いた。

 時間にしては数分経ったかどうか。


「グアッ!」

「ウッ!」


 その間に周囲から呻き声が聞こえ、風を切る様な音がしたと思ったら遠くで悲鳴が聞こえている。

 1人でお化け屋敷と言うよりは、団体でお化け屋敷に入った筈なのに、1人また1人と人が減っていているそんな感じだ。

 そして、お化け役は惣倉だ。