男の言葉と共にズラリと何処からとも無く人が現れた。
ドッグラン達だ。
クソ…!まだこんなにいやがったのか!
身体を立て直し、周囲を警戒する。
「お連れ様には私が手塩に掛けた精鋭がお相手させて頂きましょう」
複数の相手が俺を取り囲み、惣倉と分断された。
「さあ早く…」
チワワは片手にナイフを構えた。
ドッグラン達も一瞬にして、武器を取り出す。
ただこの中でも1番ヤバいのは確実にあのチワワ男だ。
「惣倉!スマン!持ち堪えろよ!」
俺もこんな連中相手に負ける気は無いが、何せ相手は武器持ちで多数だ。
これは時間が掛かる、それまでは惣倉が持てば…。
そんな俺の思いとは裏腹に惣倉が、
「カール」
ボソリと呟く。
「は?」
チワワ男が怪訝そうにする。
俺も何で今?となったが、急に廊下を照らしていた照明が消える。
「ーーーこう言う時は使える」
暗闇に包まれた時、何故だか惣倉の声だけがやけに響いた。
時間にしては数分経ったかどうか。
「グアッ!」
「ウッ!」
その間に周囲から呻き声が聞こえ、風を切る様な音がしたと思ったら遠くで悲鳴が聞こえている。
1人でお化け屋敷と言うよりは、団体でお化け屋敷に入った筈なのに、1人また1人と人が減っていているそんな感じだ。
そして、お化け役は惣倉だ。



