過つは彼の性、許すは我の心 弐



 恐る恐る振り向いた先には、


「貴方方は何故こんな所に?」


 先程のチワワマスクの男がそこに居た。


 俺がアワアワしていると、惣倉が前に出た。


「…着ぐるみを来た奴だけ見当たらないとの事だったので、今本部に戻ろうとした所です」


 そう、それだ。

 もし見つかった時または、俺らの前の格好を着せられた男2人の事がバレた時に惣倉の今言った言葉を言おうと言う事になっていた。(唐堂は身代わりの術作戦と呼んでいた)


「…そうでしたか」


 チワワマスクの男は考えこむ様、顎に手を当てている。

 身体は惣倉と俺の中間ぐらいの大きさで中肉中背…ドッグラン達の中では小さな方だ。

 ただ、違和感がする。

 惣倉も同じ気持ちなのか「じゃあこれで」と言って早々に背を向けようとした。


「待って下さい」

「まだ何か?」

「その着ぐるみ、」


 何故だか、


「ーーー中身を見せて貰っても宜しいでしょうか」


 不気味な感じがするのは気のせいか?

 俺はどうするんだ、と隣にいる男を見る。


「…いいですよ、どうぞ見て下さい」


 惣倉は「すみませんちょっと置きますね」と言いながら、地面に着ぐるみを置く。

 チワワ男は一歩、また一歩と歩く。

 男が近付く度に緊張感が増す。

 
「いいんですか?手放しても」