過つは彼の性、許すは我の心 弐

 

 ナマハゲのインパクトが強過ぎて忘れていたが、こんな場所に着ぐるみって…今更ながらに思った。


「下手打たなきゃいいけどな…」

「だから大丈夫ですよ。公的機関に頼れないのはあっちも同じです。大事にしたく無いから捕まえようとするんですよ、逆を言えば捕まらなければいいだけの話です」

「捕まらなきゃな」


 因みに俺らはあの後もう1人、惣倉が掻っ攫って来た奴のマスクを剥ぎ取って、唐堂命名のドッグラン達に扮装している。(俺はゴールデンレトリバーマスクを被っている)


「それに海祇先輩、妹さんと居ると更に強い?って言うのか、何て言うんだろうな、パワーアップ?しているから余計大丈夫じゃないかと」

「パワーアップ?」


 惣倉の不思議な海祇兄妹の評価に首を傾げる。


「うーん適当な言い方がないなあ…ま、良い言い方が思い付かないからこれ以上の言及は無しで。それより早く離れますよ。アレ(・・)も、もうそろそろバレても可笑しく無い」


 踵を返したのを見て、そうだったと歩き始める。

 俺らの目的はさっきのエリアから出来るだけ離れる事だ。

 惣倉に続こうとしてーーーー。


「お待ち下さい」


 背後から声を掛けられる。

 ヤベッと内心焦るが、従業員のフリしているんだから、普通に振り向けばいいだけだと落ち着かせる。