過つは彼の性、許すは我の心 弐

 

 あっちに…島に行っても兄さんと2人でするって事が最近無かったから、兄さんと行う久々の神事(・・)に高揚が押さえきれず、被り物の中で唇を舐めた。


「さっきの続きだけど、俺らは自分らを罰する」

「ああ?まだ言ってんのか?」


 周囲の立ち上がった男達は気を伺い、ドーベルマン男は声に苛立ちを纏わせながら答える。

 兄さんはいつまた乱闘になるか分からない状況下で、


「自分らみたいのと一緒に育てられてな。そやさかいよう気持ちも分かる」


 世間話程度に私達の生い立ちに触れる。

 言っちゃていいのかと思ったが、この後の事を考えると別にいいかと考え直す。

 今更血の繋がりもない、一般的に言えば犯罪者(・・・)とされる人達に育てられたのは変えようのない事実で、それが、私達の生きる島の、家の、習わしなのも変えられない事実なのだから。


「は…?」


 男は呆気に取られ一瞬沈黙する。

 そして案の定、


「テメエら…人の事をおちょくりやがって巫山戯んじゃねぇぞ!?」


 男は馬鹿にされたと感じたらしく、怒鳴り散らし始めた。

 兄さんは男の怒りに何も返さない。

 準備運動をしながら、


「自分らは俺らに罰されて罪が洗われるんや。ほんまは島におる救いようのあれへん奴らにしかしたれあれへんからな、有難う思えや」


 軽く腕を回してハアと息を吐く兄さん。