最もらしい事を言われて、兄さんも私もキョトンとして、ああと納得する。
「そうか普通はせやなあ」
「忘れとったね」
「漸くこっちの生活にも慣れて来て、こっちの楽しさも分かって来たから、俺らの普通はちゃうって事を忘れとったな」
「ねー」
私もあっちっとこっちとの差異に大分悩んだけれど、綴ちゃんのお陰で少しずつ私も兄さんも慣れたんだよね。
思い出したらほのぼのして来た。
綴ちゃんってやっぱり不思議な子。
こっちの異常性にも気付いているし、恐れているのにそれでも接し続ける優しい子。
あっちにいるあの子に似ている。
「何がねーだ馬鹿にしてんのか!?」
馬鹿にしたつもりはないけれど、勝手に怒り始めたドーベルマン。
兄さんが呆れた様に、
「つーかアンタらこそ、こんなん使い慣れてるって事は元犯罪者か、傭兵上がりか…どっちにしろこんなけったくそ悪い場所におるんやったら、碌な出ちゃうやろう」
そして、冷たく言い放った。
男は、
「ハッ…御名答。俺は犯罪者の方。しかも人殺しだ」
と開き直りながら馬鹿にされた分を返すかの如く、自分の犯した罪を揚々と述べる。
大馬鹿ね、と心で男を評する。
「お前らぐらいの頃に人殺し、盗み、薬何でもやったけど法が守ってくれたからなァ?ああ!女を殺した事もあ、」
「…俺等はな」



