楽しそうだな、と場違いにも思った。
やっぱり兄さんとこうしている時が1番安心する。
後、今の被り物があの場所に居る時に使うモノと似ているからかもしれない。
「グアッ!」
壁に叩きつけられたドックマスクの男と、周囲に同じ様に倒れている男達。
「お前ら…本当に学生か」
ドーベルマンマスクの男は、驚きに満ちた声で呟く。
たかだか学生と侮る勿れ。
倒した男達はうめき声1つ上げずにその場に倒れ伏している。勿論私達がやった。
綴ちゃん達と別れた後、早々に行き止まりに行き着く事となり、そこから乱戦となったのは自然の流れだった。
下手に手加減は出来なかったから、少々身体が変な方向に曲がっている奴らがいるのはご愛嬌って事で。
「俺はコイツらの方があり得へん思たけどな」
「…」
「完全に人目のあれへん廊下に入った思たら、」
兄さんは落ちていたソレを拾う。
ソレを上に掲げながら、はあと溜息を吐く。
「銃使うなんて、穏やかちゃう」
黒く光る銃。
私と兄さんは直ぐに気づいたから掠りもしなかったけれど。
気付いた瞬間、兄さんとクロスする様に斜めに走って、物陰に隠れたからいいものの、綴ちゃんとかだったらどうするんだか。
「…だとしても、学生が銃避けてんじゃねえぞ」
「死ぬって思たら避けるやろうあほ」
「違うわ!テメエら何でそんなに慣れている!?」



