「な、何で連れて来たんだ!?」
「いやあ聞いた方が早いからと思って」
ダラリと力の抜け切ったゴールデンレトリバーマスク男を、手早く持っていた結束バンドで拘束。君は未来から来た猫型ロボットか。
そしてバサリとマスクを剥ぎ取り、その胸倉を掴み上げ、露わになった厳つい男を何回かビンタし始める。
「つ、惣倉君?」
惣倉君の奇行に声を掛けるが、彼は無言のまま攻撃し続ける。
男は微かな呻き声をあげて、その瞼を開けようとし、絶句した。
絶句したのは私だけでなく、
「…っ何だお前、ら」
目覚めきった男も、惣倉君が自分の胸倉を掴む手とは反対の手を見て言葉を失う。
カールさんを傷つけた小型ナイフだ。
ま、まさか。
「危ない事は…!」
「先輩の前ではそんな事はしませんよ…ちょおっと危ない事はしますけど」
ちょおっとって…。
惣倉君は片手に持ったナイフを、男の眼前でチラつかせる。
「こ、こんな事をしてタダで済むとは思ってんじゃねえぞ!」
気丈にも男は惣倉君に噛み付いているが、惣倉君には微塵の動揺も見られない。
「お前ら全員おしまい、」
刹那ーーー男の顔面を横に切り裂かれる。
私は思わず口を押さえた。
「ぎゃあああァアアあああ!!」
「今ここで知っている事を話せば命は助けてやる。でも、助けに誰かが入った瞬間俺は容赦なくアンタの命を奪う」



