過つは彼の性、許すは我の心 弐



 直ぐそこで絡んでいた人が脱いだ服だと思われるけれど…。


「普通って何だよ!?」

「…着たいんですか?」

「そんな訳あるか!」


 この2人案外仲良いのかな?ってぐらい息合っているのは気のせいか。

 ある意味、渚君と凌久君みたいなものかな。


「てか、惣倉良い加減どうするか教えろよ!」

「…」

「惣倉君?」


 目元しか見えない惣倉君の視線が、続き部屋となっている方に向いている。
 

「…武凱先輩もう一度行きますよ。先輩口を塞いで」

「何、」


 するの?


 私の言葉は掻き消える。

 次エリアに入った瞬間、又もやカンッカンッ…と言う何かが落ちる共にプシューと言う音によってーーー煙幕第2段だ。

 運ばれながらグッと口を塞ぐ。


「火事か!?」

「どうなっているおい!」

「きゃあ!!」


 廊下でやるより煙幕の密度が濃いせいか、さっきよりも視界が悪くなっている。こう言うところって、火災報知器反応しないのかなとヒヤヒヤ。


「よし、先輩一回下ろします」

「あ、うん」


 久々に床に足を着ける。変な感じ。


「逃げろー!」

「落ち着いて下さい!」


 私達以外の人達(ドッグラン含む)わーきゃー言っているのは分かるけれど、惣倉君以外はまともに見えていないんじゃ無いのこれ。


「アイツら何処行った!?」

「何も見えないクソ…!」


 足止めにはなっているけれど、ここから惣倉君は一体どうするつもりなんだ?