「いや先輩思っているだろうなって」
「よくお分かりで」
「そんなの言っている場合か!」
「鉄将君が言ったでしょうに…」
「何だって!?」
横隣の鉄将君は、いつもだったら突っ込みを入れている所だが、逃げるのに必死らしく私の呆れは聞こえてないらしい。
「クソ!さっきより速くなっている!」
「餓鬼ども!」
でも鉄将君もあれ以降ドックラン達に捕まれていない事から、この状況に慣れて来ているみたい。流石運動神経マン。
一見良い感じに見えるが、
「埒あきませんね」
「確かに。獅帥君が何処に居るか分かっている訳でもないもんね」
獅帥君の正確な位置が分かっていないのだ。
近付いているのはドッグラン達の様子から分かっているんだけれど、少数精鋭(私以外)で来ている私達はかなり不味い。
あっちは地の利もあるし、人もいるし、目的も知られているからこっちは圧倒的に不利。
結局は位置を把握していないのが痛い。
「おい惣倉!あの気味の悪い男から何か情報貰ってないのか!?」
「カールさん?」
「そこまで便利じゃないですよ」
嫌そうに惣倉君が言いながら「…ちょっとやり方を変えましょうか」と含む言い方で締めた。
やり方を変える?
「先輩、部屋入りますよ。見たくなければ目を瞑ってて」
「は、はい!」
「マジか!?」



