「侵入者は排除されるのが世の常ですからね。追われるのも仕方ないですよ」
「貴様ら待て!!」
「止まれ!」
惣倉君は私を俵担ぎしているには思えないぐらい、軽快に逃げ回りながら追われている理由を説明してくれた。
それは分かっているんだけどさ。
「2人とも大丈夫かな?」
こっちは3人で、アッチは2人だけで大丈夫なんだろうか。(私が戦力にもならない事は置いておく)
「大丈夫ですよっと」
「ま、グッ!」
惣倉君は片手で近くにあったグラスを拾い上げて、背後に迫った柴犬マスクの男にクリーンヒットさせながら「逆に先輩が一緒にいると海祇先輩とかは、実力発揮しづらいと思うんで」と落ち着いた口調でそう言う。
「えそうなの?」
「まあ男心と言うか、何と言うか。怖がられたくないみたいな感じですかね」
「そ、そっか…」
それについてはちょくちょくビビっている故に、怖がっちゃう可能性大の為何も言えなかった。
「つーかさお前らよ!こんな時によくそんな会話できるな!?」
「私運ばれているだけだし」
「武凱先輩余裕ないんですね」
「この…!」
プルプルと頭に被った網籠の向こうで怒りを鎮めようとしているのが分かるぐらい、鉄将君は怒っているのは分かるんだけれど。
「暑くないの?その深編笠」
「暑いわ!でもそうも言ってられないだろう!」



