過つは彼の性、許すは我の心 弐

 

「うんいたよ。声掛ける前に2人とも出て行っちゃったから、挨拶出来なかったんだよね。綴ちゃんも具合悪かったんでしょう?今は平気?」

「大丈夫、ありがとう」


 木野島君は「そっか良かった」と笑う。

 このシンカンの中で木野島君って本当バランサーだなあ。

 育ちの良さと人の良さが全面に出ている感じで、多少のおイタ(女性関係とか)も目を瞑れる様な気がする。

 火ノ宮君と清維は未だピリピリしていたり、火渡君は敵視しているのか睨みつけて来るしで、木野島君いなければご飯楽しめなかったもの。


 あ、そうだ。

 
「皆んなは妃帥ちゃんのお見舞いに来たんでしょう?まだ起きてないけど、このまま少し待つ?」


 当然の如く皆んなにそう聞けば、木野島君がまた困った様に「んー…いやそう言う訳じゃなくって」と言う。


「ーーーンなわけねえだろ」

「へ?」


 足を組んで肘掛けに頬杖を突きながら、眉を顰めている火渡君。


「僕らは、獅帥の方を見に来ただけ」

「へ」

「獅帥はいつも妃帥が倒れると不眠不休で傍にいたがるのよ」


 現在もピリピリ続行の火ノ宮君と清維が教えてくれたが、何処かうんざりしている様に疑問が湧く。


「…兄妹が心配するのって当たり前じゃない?」

「それが本当ならな」

「本当なら?」


 火渡君は言葉に鋭利さが伴う。


「仮病だよ、仮病」

「仮病?」