「うんいたよ。声掛ける前に2人とも出て行っちゃったから、挨拶出来なかったんだよね。綴ちゃんも具合悪かったんでしょう?今は平気?」
「大丈夫、ありがとう」
木野島君は「そっか良かった」と笑う。
このシンカンの中で木野島君って本当バランサーだなあ。
育ちの良さと人の良さが全面に出ている感じで、多少のおイタ(女性関係とか)も目を瞑れる様な気がする。
火ノ宮君と清維は未だピリピリしていたり、火渡君は敵視しているのか睨みつけて来るしで、木野島君いなければご飯楽しめなかったもの。
あ、そうだ。
「皆んなは妃帥ちゃんのお見舞いに来たんでしょう?まだ起きてないけど、このまま少し待つ?」
当然の如く皆んなにそう聞けば、木野島君がまた困った様に「んー…いやそう言う訳じゃなくって」と言う。
「ーーーンなわけねえだろ」
「へ?」
足を組んで肘掛けに頬杖を突きながら、眉を顰めている火渡君。
「僕らは、獅帥の方を見に来ただけ」
「へ」
「獅帥はいつも妃帥が倒れると不眠不休で傍にいたがるのよ」
現在もピリピリ続行の火ノ宮君と清維が教えてくれたが、何処かうんざりしている様に疑問が湧く。
「…兄妹が心配するのって当たり前じゃない?」
「それが本当ならな」
「本当なら?」
火渡君は言葉に鋭利さが伴う。
「仮病だよ、仮病」
「仮病?」



