「俺は離れ離れになっても一生先輩の事を忘れないと思いますし、傍に居続けられたらずっと先輩に構って欲しいって思います」
そう答えられて「ええ…」と戸惑ってしまった。
戸惑うと言うより、そこまで思ってくれる事に照れる気持ちが強いと言うか。
スリスリされた時より照れ度が高い。
「えとあの…」
照れ照れ(造語)な私がもごもごと口を動かすのを、黙って見ている惣倉君がまた照れ度を上げる。
嘘偽りない言葉にちゃんとした返しをしたいからこそ、時間が掛かる訳で…取り敢えず脳内で整理していれば、
「ヒノカグツチ、ヒュドラノドク、ヘズノヤドリギ、フェンリル…」
カールさんの声に彼を見れば、先程とは違う微笑みにん?と首を傾げる。
思わぬ形で助け舟を出されたが、今の呪文は一体?
「大事にお使い下さい綴様」
「へ?」
「貴方が愛でるソレはその為に産まれたのですよ」
言葉の意味が分からないから、血の滴るカールさんの耳を見つめるしかない。(て言うかいつ止血するんだ)
「もう着きますよ」
そもそも私に説明する気がないカールさんは、何処ぞのホテルの地下駐車場へと車を入らせて、立体駐車場でしか見掛けない、更に車を下へと降ろすエレベーターに停車した。
外観からして普通のホテルにしか見えなかったけれど、下へと降りて行けば行く程に沢山の高級車が止められているのが見える。



