惣倉君は私の言葉を聞いて、
「…先輩って凄いですね」
そうポツリと呟いて、私を抱き締め返す。
「先輩の言う事を聞こうとしている自分に驚いています」
自分の変化に驚きと、何でだ?と言う気持ちが無い混ぜになった言葉。
「先輩以外の誰かに同じ事を言われても、何とも思わないと思うんですけど、不思議な気分です」
「…これからそう言う相手が増えるといいね」
「増えないと思います」
「増えるよ。だって惣倉君が私を好きだと思っているのが事実なら、呆れるぐらい平凡な人生に憧れているって事だと思うよ」
「…」
「特別何か才能がある訳でも、目を惹く美人という訳でも、壮絶な過去がある訳でも無い私の事を大事に思ってくれている事はそう言う事なんじゃない?」
何かを大事にしていれば、同じ様な志を持った人が寄って来ると私は思う。
惣倉君が今のままでいられれば、惣倉君の魅力に気付いた人達が沢山彼の周りに集まる事だろう。
「あーきっと私の方が寂しくなっちゃうね」
惣倉君は私から身体を離して「何でですか?」と私に問い掛ける。
分かってないなーふふっ…とそれに笑って、
「惣倉君がとっても素敵な人って周りに知られたら、私の事なんて構ってられなくなるよ」
と答えれば惣倉君に間髪入れずに、



