惣倉君は目をパチクリして驚いた表情をする。
相手の好意を利用する卑怯な言い方をしてしまったが、
「…惣倉君が手を出すって事はよっぽどなんだよね」
そう、彼はこんな強さを持ちながら親戚に痛め付けられているのだ。
きっと惣倉君なら復讐する事も簡単な筈なのにしないって事は、彼なりの理由があって強さを隠しているって事になる。
妃帥ちゃんと惣倉君。
お互い本当の自分を隠し続ける2人。
体育祭で妃帥ちゃんとの問答をしている時、お互い通じ合う部分がある様に見えた。
…私もつくづく好みのタイプ分かりやすいな。
ちょっと自分に呆れながら、惣倉君を見る。
純粋な漆黒の瞳。
「だからと言って、感情的に人を傷付ける事はやっちゃいけない事だと思っているし、私はこれからも惣倉君が目の前で人を傷付けたらこうやって嗜めちゃう」
彼からすれば、私は自力じゃ何も出来ない理想論だけを吐いている様にしか見えないんだろうけれど…。
私は、
「先輩?」
キュッと彼を抱き締めて、彼に言葉を投げ掛ける。
「でも惣倉君の事を聞くならちゃんと惣倉君から聞けばよかった。勝手に私が聞いちゃいけないのかなって思っちゃったからさ。だからごめんね。今日の事が片付いたら惣倉君が話せる程度でいいから惣倉君の事を教えてね」
「…」



