わ、私が困っているの分かっててやってやがる…!
自分で言った手前スリスリするのを止めろとも言えず、いつもなら空気を読んで(空気読むのは私限定だけれど)止めてくれるのに、今は気分良さそうに私にスリスリする惣倉君。
「おいコラクソガキ!」
「兄さん妬かない妬かない」
渚君が大騒ぎしつつ、妹の夏波ちゃんに嗜められているのを尻目に、鉄将君は信じられない様な目で見られているのが解せない。
「綴様は荒神を治める女神いや…巫女の様ですね」
血も滴らせる良い男(?)のカールさんは、バックミラー越しに感心した様に呟いた。
「カールさんあの…今更ですけど大丈夫ですか?」
「大丈夫ですよ」
あまりにも軽い返答にさっき見た事が現実では無かったのか錯覚する。
意外と耳にぶら下がった小型ナイフはピアスなのかと思い始めたが、でも見れば見るほど血が滴っている事から、現実だったんだと思い直す。
そうだよ惣倉君。
「惣倉君」
「はい?」
スリスリを止めて間近で見つめ合う。
どんな色の介入も拒絶する漆黒の瞳。
この可愛らしい後輩の中には、私には理解し切れない何かが宿っているのだろう、恐らく。
宿っていると言うより、そのものと言うか。
存在的には獅帥君と近い気がする。



