過つは彼の性、許すは我の心 弐



「幼少の頃よりお仕えしていますが、年相応な影刀様は1度足りとも見た事ありません」

「へえ長い付き合いなんですね」


 惣倉君に止められたのに、気になる内容だったのでついつい食い付いてしまった。


「そうですね。赤子の時からになるので、長いですね」

「え!赤ちゃんの時から?…うわあ絶対可愛かっただろうなあ」

 
 恐らく齢50代程の激渋おじさんのカールさんは、ハードボーイルドな見た目に対して、惣倉君への称賛を語る時は恋する乙女の様。


「それはもう期待の赤子でした。そして期待以上になられて…このカール生涯を賭して影刀様の養育に関われている事、神なぞに日に何回も感謝しそうになります」


 その瞳は、今すぐにでも告白しかねない猪突猛進の、恋する10代の女子の瞳のまま。

 信号が青になっても運転に何の支障も出さずにいるカールさんに驚きながら、


「にしても神なぞ(・・・)って言葉、結構刺激的と言うか、過激的と言うか…凄いですね」


 私は何も考えずに、言葉に出していた。

 カールさんは一時の沈黙の後、


「ああ綴様は何か信仰が?ミケですからオオミカを信仰されているんでしたか…」


 と何故だか馬鹿にする様な蔑む様な声色に、ヒュっと息を呑む。

 その瞬間ーーーヒュオンッと言う音が近くで鳴った。