「幼少の頃よりお仕えしていますが、年相応な影刀様は1度足りとも見た事ありません」
「へえ長い付き合いなんですね」
惣倉君に止められたのに、気になる内容だったのでついつい食い付いてしまった。
「そうですね。赤子の時からになるので、長いですね」
「え!赤ちゃんの時から?…うわあ絶対可愛かっただろうなあ」
恐らく齢50代程の激渋おじさんのカールさんは、ハードボーイルドな見た目に対して、惣倉君への称賛を語る時は恋する乙女の様。
「それはもう期待の赤子でした。そして期待以上になられて…このカール生涯を賭して影刀様の養育に関われている事、神なぞに日に何回も感謝しそうになります」
その瞳は、今すぐにでも告白しかねない猪突猛進の、恋する10代の女子の瞳のまま。
信号が青になっても運転に何の支障も出さずにいるカールさんに驚きながら、
「にしても神なぞって言葉、結構刺激的と言うか、過激的と言うか…凄いですね」
私は何も考えずに、言葉に出していた。
カールさんは一時の沈黙の後、
「ああ綴様は何か信仰が?ミケですからオオミカを信仰されているんでしたか…」
と何故だか馬鹿にする様な蔑む様な声色に、ヒュっと息を呑む。
その瞬間ーーーヒュオンッと言う音が近くで鳴った。



