過つは彼の性、許すは我の心 弐



 埜々ちゃんに本気で夫チェンジしちゃえと言うべきか。

 そんな考えがチラついた時。


「…俺も分かってはいるんだよ。獅帥を、この家をどうにかしないといけないって」


 頭を抱える様な仕草をする鉄将君は、サラリと自分の前髪を撫でた。


「妃帥にも言われた」

「言われた?」

「“私達をそんな目で見るな”ってナイフで切られた」

「ナイフ!?」

「俺が悪かったんだけどな」


 後ろからしか見えないが、鉄将君が左目辺りを撫でている様で「俺も正直何をどうしていいのか分からないんだ」と呟く。


「オオミカのする事に口答えするな、オオミカのする事は受け入れろとか…俺らも何処まで獅帥達に踏み込んでいいのか分からなかった。だから、大人の言う事を聞いて事勿れになっていたのは否定出来ない」

「…」


 さっきはあーだこーだ言っちゃったけれど、所詮は私も外部の人間だし、内側に居る人達の気持ちなんて分かるわけないんだよね。

 自分だけが責任を負えば言い訳ではない。

 踏み出した事による周囲への影響を考えたら、足踏みするのも頷ける。

 でも、何処かで転換しなければならないのも事実。


「天條って面倒ですよね、頭叩けばいい話じゃないですか」

「惣倉君、頭って…」


 隣に座る惣倉君が、所謂悪役がヒーローの変身中に攻撃すればいいんじゃないの理論を繰り出して来る。(何か私の例えも違う気がするけれど)