埜々ちゃんに本気で夫チェンジしちゃえと言うべきか。
そんな考えがチラついた時。
「…俺も分かってはいるんだよ。獅帥を、この家をどうにかしないといけないって」
頭を抱える様な仕草をする鉄将君は、サラリと自分の前髪を撫でた。
「妃帥にも言われた」
「言われた?」
「“私達をそんな目で見るな”ってナイフで切られた」
「ナイフ!?」
「俺が悪かったんだけどな」
後ろからしか見えないが、鉄将君が左目辺りを撫でている様で「俺も正直何をどうしていいのか分からないんだ」と呟く。
「オオミカのする事に口答えするな、オオミカのする事は受け入れろとか…俺らも何処まで獅帥達に踏み込んでいいのか分からなかった。だから、大人の言う事を聞いて事勿れになっていたのは否定出来ない」
「…」
さっきはあーだこーだ言っちゃったけれど、所詮は私も外部の人間だし、内側に居る人達の気持ちなんて分かるわけないんだよね。
自分だけが責任を負えば言い訳ではない。
踏み出した事による周囲への影響を考えたら、足踏みするのも頷ける。
でも、何処かで転換しなければならないのも事実。
「天條って面倒ですよね、頭叩けばいい話じゃないですか」
「惣倉君、頭って…」
隣に座る惣倉君が、所謂悪役がヒーローの変身中に攻撃すればいいんじゃないの理論を繰り出して来る。(何か私の例えも違う気がするけれど)



