『“鉄将が汗臭い筋肉馬鹿だと思われないのは、ちゃんと埜々が鉄将を立ててくれて、そう見える様に鉄将を煽ててくれているからって言うのを分かっているからさ。もし鉄将が埜々から見てコイツ駄目だって思った時に、この事を言っていいからね”って言われていたんです』
『な、んだそりゃ…』
後頭部しか見えないから埜々ちゃんの顔は見れないけれど、良い笑顔をしているんだろうなあきっと。
『もし万が一でも綴ちゃんが怪我して帰って来たり、獅帥様が一緒に帰って来なかった場合は、是非夫を変えて貰おうかと思います』
『埜々ぉ!』
『私を鉄将君の未来のお嫁さんにして下さいね』
いってらっしゃいと手を振った埜々ちゃんの、将来の義実家までを支配してしまうポテンシャルに恐ろしすら感じた。
「埜々ちゃんは凄いなあ」
「他人事だと思って」
鉄将君がケッと言いたげに言うもんだから、私も意地悪くもなる。
「鉄将君はもっと埜々ちゃんの夫になれない事より、人命が掛かっている事を意識したら?」
「うっ」
「小さな頃から見守っていた相手が下手したら死ぬかもしれない瀬戸際なのに、よく好きな相手と結婚出来ない事に頭が行くもんだ。感心しちゃうよ」
「ううっ」
また、あ、う、えと言うだけの機械になった鉄将君を見て溜息を吐く。



