「狼火って名前、すっごく似合ってるよ!バイバイ!」
パタパタと足音を立ててアジトを出ていった。
……えっ!
とっさのことに頭がついていかなかったけれど、今…。
理解した途端、顔から湯気が出るんじゃないかってくらい熱く、赤くなる。
空羽ちゃんに褒められただけで、めちゃくちゃいい名前に思えてくる。
なぜかは分からないけど、めちゃくちゃ嬉しい!
人生で初めてこの名前でよかったって思った。
同時に胸の奥から一つの気持ちがわき上がってくる。
「好きだ…。」
無意識に呟いていた。
好き…?
戸惑ったけど、なんだかしっくりきた。
他の好きとは違う、特別な〈好き〉
空羽ちゃんが微笑むだけで、安心したり戸惑ったりするのも、
たった一つの言葉で心が乱れるのも、
〈好き〉
だからなんだ。
自覚した途端、恥ずかしくなった。
今まで、恋愛とか興味なかったのに…。
こんなに幸せなんだ…。
初めての恋、大事にしよう。
そう心の中で決意したのだった。

