峰内さんが泣きながら訴えてくる。
僕のことでこんなに泣いてくれるんだ。
もう泣かせちゃだめだ。
自分のことを信じないと、なにも変わらない。
「……うん。難しいかもだけど、…頑張ってみる。」
「…っ、よかった…。でも、頑張りすぎないでね。」
「うん…!」
話せて、よかった…。
流石、峰内さんだ。
すごく強いのに、誰かに寄り添える優しい心を持っている。
見習わないと…!
「ふふっ…!じゃあ、私は帰ろうかな?」
えっ…!
もう帰るの…?
時計をみると、すでに一時間くらい経っていた。
だいぶ経ってる…。
「あ、あの…!」
「どうしたの〜?」
帰ろうとしている峰内さんをとっさに引き留めてしまった。
「えっと…、あの…、」
「ゆっくりでいいよ〜。」
僕に優しい笑顔が向けられる。
この笑顔をみると、なぜだか安心するんだよな…。
「あの…、空羽ちゃんって、呼んでいい…?」
嫌、だったかな…?
峰内さんをみると、驚いて目を見開いている。
でも、みるみる笑顔に変わっていって、
「全然いいよ!むしろそう呼んで!」
満面の笑みで頷いてくれた。
「やった…!」
「ねぇ、私も狼火くんって呼んでいい?」
峰内さん…じゃなくて、空羽ちゃんからの嬉しすぎる提案に、コクコク頷く。
「やったぁ!じゃあ、頑張ってね、狼火くん!」
空羽ちゃんがそう言ってドアに手をかける。
手を振ろうとした時、ぱっと空羽ちゃんが振り返る。
…なんだろう?

