「「はい!」」
返事が重なる。
「いくよ…。よーい、はじめ!」
始まった瞬間、空気がピリつく。
私達は睨み合ったまま様子を伺っている。
そしたら、急に向こうが間合いを詰めてきた。
私は動かないまま。
男の子は勝ち誇ったように、笑いながら両手を伸ばして腕をつかもうとしてくる。
私はそれを横に避ける。
向こうは私が避けたことでバランスを崩して転倒する。
その隙に私が男の子の腕を掴み、押さえ込む。
男の子が慌てて抵抗するも、効果なし。
勝ったかな?
確信した途端ピピーと笛が鳴った。
朝比奈先輩の終了の合図だ。
私は手を離して少し距離を取る。
男の子は悔しそうに顔を歪めながら起き上がる。
「空羽ちゃんの勝ち〜!おめでと〜!」
朝比奈先輩の声が響く。
「ありがとうございます!」
満面の笑みで返す。
一つ目クリア
安心していると背後から男の子に話しかけられた。
「おい…。もっかい勝負しろ!」
男の子は相当悔しかったのか、鬼の形相でつかみかかってくる。
「わぁ!」
私はひたすら避ける。
助けを求めるように視線を巡らすと、みんなクスクス笑いながらこっちをみているだけだった。
みんな絶対楽しんでる〜!!
仕方が無いので隙をついて手刀を当てる。
男の子はバタッと倒れて動かなくなった。
「わ〜お、空羽ちゃん何したの?」
朝比奈先輩が近づいてきて、感心しながら問いかけてくる。
「ちょっと気絶させただけですよ〜。ケガとかは無いので安心してください!」
「流石だな。」
いつの間にか近くに来ていた夜神くんが褒めてくれる。
自分からしたら簡単なことだけど、褒められると嬉しい。

