最強総長に能力買われました!

うまく隠せてると思ったのに!


「ふっ、めちゃくちゃ顔に出てる。」


夜神くんが微笑む。

それは心からの笑みに見えた。

思わずドキッとする。


「……かわいい」


夜神くんが呟く。


「ごめん、なんて言ったの?」


小さすぎてあんまり聞こえなかった。


「いや、何もねーよ。」


夜神くんがわざとらしく視線を逸らす。

怪しいけど、まぁいっか。


「そーいや、帰り道わかるか?」


あっ、そうだった。

覚えようとはしたけど、クネクネ曲がるから途中でわかんなくなったんだよね〜。

首を横に振る。


「じゃあ駅のとこまで送る。」

「いいの?」

「ん、迷子になって餓死されても困るしな。」


まぁそっか。

それなら、お言葉に甘えて…


「じゃあお願いしま〜す。」


送ってってもらお。

夜神くんが立ち上がり、歩いていく。


「行くぞ。」

「うん。」


慌てて追いかける。

二人並んで歩く。

その間は勿論沈黙。

でも、あんまり気まずくない。

チラリと夜神くんを盗み見る。

彼は、まっすぐ前を向いたまま堂々と歩いている。

夜神くんって案外優しいよね。

脅されてる立場ではあるけど。

でも、今もこうやって送ってくれてる。

みんなは冷酷無慈悲だって言うけど、きっとそういう面しか見てないからだと思う。

そう思うと、夜神くんをもっと知りたいな〜って思った。

何でだろうね。

さっきまで警戒してたのに。

今は警戒してない。

なんだか彼が懐かしいような感じがする。

不思議なことだ。