一区切りがついたとき、ずっと黙ってやり取りを見ていた夜神くんが口を開いた。
「空羽、お前にはNoxに入ってもらう。」
「…………え?」
Noxに…?
あの暴走族の?
「ど、どうして?」
驚きすぎてパニックになっている頭をなんとか働かせる。
「……言うつもりは無い。」
えぇ…。
「じゃあ入りたくないかな〜。」
きっぱり断る。
「え〜、入ってもらわないと困るんだけどな〜。」
朝比奈先輩が顔を覗き込んでキラキラした目で見つめてくる。
だとしても!
「ごめんなさい。」
きっぱり断る。
私は何を言われても断るって決めたから。
「ふーん、じゃあ秘密バラしてもいいんだな?」
夜神くんがニヤッと笑いながら脅してくる。
「あ…」
脅し相手である私はこのことをすっかり忘れていた。
…最悪だ。
オッケーしなければ良かった…。
後悔と同時に諦めの気持ちがでてきた。
はぁ〜、とため息をついたら、断るという選択がなくなった気がした。
「…わかったよ。入る。」
もう仕方がないから腹をくくる。
「ほんと!?」
みんなの顔がパァっと明るくなる。
「やった〜!!」
朝比奈先輩なんか嬉しすぎて飛び跳ねてるよ。
これで良かったのかな…?
不安だけど歓迎されて少し嬉しくなってしまった。
「これから仲間としてよろしくな。」
夜神くんが優しく笑う。
不覚にもドキッとしてしまった。
それを隠すように、視線をずらしてゆっくり頷く。
バレてないといいなぁ。
そんなこんなで私はNoxのメンバーとなった。

