あの夜から数日後――
放課後の校門前で、あの男が待っていた。

「……は? なんであんたがここにいるの」

「迎えに来た」
「誰を」
「お前だよ。行くぞ」

強引にバイクの後ろに乗せられ、着いた先は、古い倉庫みたいな場所。
そこに集まっていたのは、見るからにクセが強そうなメンツ。

「チーム《夜影(やえい)》。ここが俺の居場所」
「……あたし、入るなんて一言も――」
「もう入ってるようなもんだろ」

そう言って笑う駿真に、なんかムカついて言い返そうとして――

「駿真、その子……新入り?」

ひとりの女の子が話しかけてきた。
淡い金髪で、目が鋭い。でも、どこか優しげな雰囲気もある。

「“姫”候補? ……へぇ、面白そうじゃん」
「は? 姫って何?」

「女でこの場所に立つには、覚悟がいるってこと」

言葉の意味はまだ分からなかったけど、
ただ、その場を去ろうとする背中に負けたくなくて、私は口を開いた。

「じゃあ、証明すればいいんでしょ。……私がここにいていいってこと」

駿真が一瞬、驚いたような顔をした。
でもすぐ、いつもの気のない声で言う。

「……ま、気に入ったなら勝手にいろよ。誰かに潰されない限りな」



それから数日間、私は夜影の集まりに顔を出すようになった。
最初はみんな遠巻きだったけど、少しずつ、視線が変わっていくのがわかった。

誰かの居場所に、私がなろうとしてる。
そんな気がしてた。