バスの中 翌朝
朝の混雑したバス。ひなたはバスの前の方でつり革を持ちながら参考書を手に立ち、緊張した様子でページをめくる。
たすくは後ろの方で窓の外をぼんやり見ている。
たすくひなたに気づいてちらりと見て無視
イヤホンをつけて、自分の世界に閉じこもる。
しばらくして、ふと視線を上げると、ひなたの様子がおかしい。下を向いて体が震えている。
後ろのサラリーマンが不自然に近い距離で立っている。
たすく、眉をひそめ、凝視サラリーマンの手がひなたのスカートの中に伸びている。
たすく
(…マジか。痴漢だろ。早く誰か助け呼べ)
ひなた
(…痴漢!? 嫌だ、嫌だ…!)
体が凍りつき、声が出ない。震えが止まらず、頭がパニックに。冷や汗。
ひなた回想
若い男性 顔にはモヤがかかって見えない
「お母さんいないから、僕と遊ぼうか」
ひなたの体に手を伸ばす男。
外に逃げ出すひなた。
回想終わり
ひなたは下を向いたまま、動かない。たすく、立ち上がる。
吐き気がこみ上げる。口を手でおおう。
男の手が下着にまで伸びようとした瞬間――
たすく(鋭い声、人をかき分けて進む)
「中学生相手に何やってんだ、クズ野郎!」
たすく、ひなたとサラリーマンの間に割り込み、男の胸ぐらを掴む。ひなた、驚いて顔を上げる。たすくの背中が目の前に。
サラリーマン(慌てて)
「な、なんだ君は!」
たすく(冷たく、男の手をひねり上げる):
「触ってただろ」
バス内の乗客がざわつく。たすくの鋭い視線に、サラリーマンがたじろぐ。ひなた、たすくの背中に目を奪われ、胸がドキドキ。
女性乗客
「この人、確かに痴漢してました!」
周囲の注目が集まり、バスは最寄りの停留所で停車。
警察が呼ばれ、痴漢は連行される。ひなた、オロオロしながら警察の質問にうまく答えられない。たすくと女性乗客が代わりに状況を説明。
ひなたは硬直して喋れない。
場面転換
バス停
警察の事情聴取が終わり、ひなたとたすくは遅刻確定。バス停のベンチに座るひなた、膝を抱えてうつむく。たすく、離れて立ったまま、ひなたをちらりと見る。
たすく
ぶっきらぼうに
「…それ、どうした」
ひなた、半袖の制服から出た腕の赤い蕁麻疹に気づく。足にも広がっている。
ひなた
慌てて腕を隠し
「…大丈夫です!」
ひなた、恥ずかしさでうずくまる。たすく、しゃがんでひなたの目線に合わせ、じっと見つめる。
たすく
低く、苛立ち混じり
「嫌なことくらい、ちゃんと言えよ。黙って耐えてても、誰も助けてくれねーよ」
ひなた、たすくの言葉に胸が締め付けられる。情けない自分が嫌いだと再確認し、涙がこぼれる。
ひなた
声を殺して
「ごめ……なさい……お母さんには言わないで。心配かけるから」
たすく、ちょっと罪悪感の顔
リュックからスポーツタオルを取り出し、ひなたの肩にポンと被せる。
たすく
「今日は家で休んでろよ。先生には言っとく」
座り込むひなたの手を引き、自宅に引き返す。
ひなた 驚いた顔
「たすく君、遅刻しちゃう」
たすく
「それどころじゃないだろ」
蕁麻疹がたすくが触れたのに出ていないことに気づく。
ひなた
(たすく君に触られても…蕁麻疹、出なかった)
場面転換
リビング(夜)
夜、たすくと正次のリビング。正次は書類を読み、たすくはソファに座ってスマホをいじる。
たすく
何気なく
「なあ、皮膚に急にブツブツできて腫れる病気ってなんだ?」
正次
「ちゃんと診ないとわからないけど、蕁麻疹が多いかな。ストレスとかで出ることもある」
たすく 渋い顔
正次
「友達? 心配なら連れておいで、診てあげるよ。」
たすく
ぶっきらぼうに
「…まぁ、そんなとこ」
(あいつ、母親にも言ってないんだろうな)
朝の混雑したバス。ひなたはバスの前の方でつり革を持ちながら参考書を手に立ち、緊張した様子でページをめくる。
たすくは後ろの方で窓の外をぼんやり見ている。
たすくひなたに気づいてちらりと見て無視
イヤホンをつけて、自分の世界に閉じこもる。
しばらくして、ふと視線を上げると、ひなたの様子がおかしい。下を向いて体が震えている。
後ろのサラリーマンが不自然に近い距離で立っている。
たすく、眉をひそめ、凝視サラリーマンの手がひなたのスカートの中に伸びている。
たすく
(…マジか。痴漢だろ。早く誰か助け呼べ)
ひなた
(…痴漢!? 嫌だ、嫌だ…!)
体が凍りつき、声が出ない。震えが止まらず、頭がパニックに。冷や汗。
ひなた回想
若い男性 顔にはモヤがかかって見えない
「お母さんいないから、僕と遊ぼうか」
ひなたの体に手を伸ばす男。
外に逃げ出すひなた。
回想終わり
ひなたは下を向いたまま、動かない。たすく、立ち上がる。
吐き気がこみ上げる。口を手でおおう。
男の手が下着にまで伸びようとした瞬間――
たすく(鋭い声、人をかき分けて進む)
「中学生相手に何やってんだ、クズ野郎!」
たすく、ひなたとサラリーマンの間に割り込み、男の胸ぐらを掴む。ひなた、驚いて顔を上げる。たすくの背中が目の前に。
サラリーマン(慌てて)
「な、なんだ君は!」
たすく(冷たく、男の手をひねり上げる):
「触ってただろ」
バス内の乗客がざわつく。たすくの鋭い視線に、サラリーマンがたじろぐ。ひなた、たすくの背中に目を奪われ、胸がドキドキ。
女性乗客
「この人、確かに痴漢してました!」
周囲の注目が集まり、バスは最寄りの停留所で停車。
警察が呼ばれ、痴漢は連行される。ひなた、オロオロしながら警察の質問にうまく答えられない。たすくと女性乗客が代わりに状況を説明。
ひなたは硬直して喋れない。
場面転換
バス停
警察の事情聴取が終わり、ひなたとたすくは遅刻確定。バス停のベンチに座るひなた、膝を抱えてうつむく。たすく、離れて立ったまま、ひなたをちらりと見る。
たすく
ぶっきらぼうに
「…それ、どうした」
ひなた、半袖の制服から出た腕の赤い蕁麻疹に気づく。足にも広がっている。
ひなた
慌てて腕を隠し
「…大丈夫です!」
ひなた、恥ずかしさでうずくまる。たすく、しゃがんでひなたの目線に合わせ、じっと見つめる。
たすく
低く、苛立ち混じり
「嫌なことくらい、ちゃんと言えよ。黙って耐えてても、誰も助けてくれねーよ」
ひなた、たすくの言葉に胸が締め付けられる。情けない自分が嫌いだと再確認し、涙がこぼれる。
ひなた
声を殺して
「ごめ……なさい……お母さんには言わないで。心配かけるから」
たすく、ちょっと罪悪感の顔
リュックからスポーツタオルを取り出し、ひなたの肩にポンと被せる。
たすく
「今日は家で休んでろよ。先生には言っとく」
座り込むひなたの手を引き、自宅に引き返す。
ひなた 驚いた顔
「たすく君、遅刻しちゃう」
たすく
「それどころじゃないだろ」
蕁麻疹がたすくが触れたのに出ていないことに気づく。
ひなた
(たすく君に触られても…蕁麻疹、出なかった)
場面転換
リビング(夜)
夜、たすくと正次のリビング。正次は書類を読み、たすくはソファに座ってスマホをいじる。
たすく
何気なく
「なあ、皮膚に急にブツブツできて腫れる病気ってなんだ?」
正次
「ちゃんと診ないとわからないけど、蕁麻疹が多いかな。ストレスとかで出ることもある」
たすく 渋い顔
正次
「友達? 心配なら連れておいで、診てあげるよ。」
たすく
ぶっきらぼうに
「…まぁ、そんなとこ」
(あいつ、母親にも言ってないんだろうな)
