「昨日、突然のお願いだったのにありがとな。助かったよ。山崎さんと川村さんも、"来栖さんは仕事が早いし、担当を来栖さんにお願いするようになってから売上も上がってきた"って褒めてたよ。」
そう言う蒼大と言葉に「本当?そう言ってもらえてるなら良かった!」と、わたしは返した。
わたしは、元々蒼大の担当地区だけを受け持っていたのだが、数ヵ月前に営業部の山崎さんと川村さんから「担当して欲しい。」とお願いをされ、今では3つの地区の販促を受け持っていて、多忙な毎日を過ごしている。
そんな中、鈴井さんが蒼大に向け「天海くんの地区の担当、わたしがやろうか?」と話に入ってきた。
しかし、蒼大は「あぁ、、、今は来栖さんとペアで上手くいってるので、、、機会があればお願いします。」とやんわりとお断りをしていた。
「あら、そう?担当わたしに変えたかったら、いつでも言ってね!」
蒼大に向けて笑顔でそう言う鈴井さんは、一瞬だけだかわたしをチラッと見て睨みつけた。
おぉ、怖い怖い、、、
そして、エレベーターから降り、「じゃあ、今日も頑張ろうな!」とふと手を上げ、営業部の方へ向かって行く蒼大にわたしも手を振り返すと、鈴井さんの嫉妬の圧を受けながら販促部へと入って行った。
「おはようございます。」
周りの人たちにそう挨拶しながら自分のデスクについたわたしは、まずパソコンのディスプレイ横にズラリと貼り付けているメモを確認した。
頼まれている仕事を付箋にメモして、パソコンに貼り付けているのだが、一つ終わればまた次がやってきて、なかなか減らない付箋たち。
すると、ドンッと大きな音を立て、わたしのデスクに山積みになったファイルが乗せられた。
わたしはそれに驚きながら、ふと視線を横にズラすと、そこに立っていたのは不機嫌そうな表情を浮かべる鈴井さんだった。
