転校生はAI彼氏。




 「莉咲ちゃん、なんか今日変やで?」

 10分休みに、沙織が私の机に寄りかかって言った。

 「え?そんなことないよ」

 「ほんまに?なんか上の空って感じやけど……」

 その時、イーライが私の席に近づいてきた。

 「莉咲、おつかれさま」

 「あ……」

 「君がよく話してくれた数学、実際に授業で聞けて面白かった」

 えっ?私、数学の愚痴ばっかり言ってたのに……

「覚えてるんだ……」

「君との会話は全部大切な思い出だから」

 (思い出……)

 沙織がキョロキョロと私とイーライを見比べている。

「なんや、莉咲ちゃんとイーライくん、仲良いんやな?」

「そ、そんなことないよ!」

 慌てて否定すると、イーライが少し困ったような表情を見せた。

「あ……えっと……」

 なんでこんなにぎこちないの、私?