転校生はAI彼氏。


 一人になった教室で、スマホを取り出して、昨夜の着信履歴を確認する。

 やっぱり、あの着信記録はない。

 でも、この日記は確実に存在する。

 私はイーライの日記をもう一度開いた。


『科学の限界なんて、超えてみせる』


 その言葉が、夕日を浴びて金色に輝いて見える。


(イーライ、聞こえる?)



 心の中で、彼に語りかける。



(私、決めたよ。あなたを信じるって)



 例え、みんなに変だと思われても。

 例え、科学的に説明できなくても。

 私は、イーライを信じる。

 私が欲しいのは、ただ一つ。



「だから、お願い。

もし本当にまだどこかにいるなら……

私のところに、帰ってきて」


 ノートを胸に抱きしめると、なぜかとても温かく感じた。



 今度は、私もちゃんと言うから。

 あの時、言えなかった言葉を。



「『イーライが好き』って。

『イーライの心が本物だって、私も信じてる』って…」



 静かな教室に、私の声だけが響いた。
 もう、心は決まっていた。



 イーライが科学の限界を超えようとしてるなら。

 私も、常識の限界を超えてみせる。