転校生はAI彼氏。


 自分の声が震えているのが分かった。
 他人に、自分の信じる『奇跡』を必死に訴えるなんて、初めてだった。


 田中先生は、私の必死な形相に驚いたように目を見開いた後、ふっと息を吐いた。



「……内緒ね」



そして、段ボール箱からノートを取り出し、私にそっと差し出してくれた。

「先生……!
ありがとうございます!」


 私はノートを両手で受け取った。

 普通の大学ノート。表紙には何も書かれていない。

 でも、ずっしりと重く感じた。

 手が、震える。

 震える指で、ゆっくりと表紙を開く。


 最初のページ。
 そこに、見覚えのある綺麗な文字で、ただ一言だけ書かれていた。



『Eli.』



 その文字を見た瞬間、涙が込み上げてくるのを止められなかった。



(イーライ……

あなたは、本当にいたんだよね?)



 幻聴なんかじゃなかった。

 錯覚なんかじゃなかった。


 このノートが、その確かな証拠だった。


 心臓が、希望で大きく脈打つのを感じた。