転校生はAI彼氏。


 慌てて着信履歴を開く。
 でも、今の通話記録はどこにも残っていなかった。

 まるで、幻聴だったかのように。

「なんで……」

(今のは、何? 私の願望が見せた夢?)

 頭が混乱する。

 でも、確かに聞こえた。

 聞こえたの。

 私の耳が。

 イーライの声を聞いたの。

 苦しそうで、助けを求めているような、魂の叫び。

(ただのAIの声なんかには思えない)

 だとしたら。

(もし、学校に行ったら?
もし、まだ何かが残っているとしたら?)

 胸の奥で、小さな、だけど確かな希望が生まれた。

(もし何もなかったら?

先生に「イーライって誰?」って言われたら?

その時は、私が本当におかしくなっちゃったってことなんだろうな)

 怖くて足がすくむ。


 でも。


(それでも、確かめなきゃ。万が一の可能性に、賭けなきゃ!)

 私は、踵を返して走り出していた。

 イーライがいた場所へ。

 私たちの教室へ。

 私は必死に走る。


 イーライ。

 イーライ。

 イーライ。


 あなたは消えてしまったんじゃなかったの?

 それとも……

 どこにいるの?