転校生はAI彼氏。


 夜、ベッドで天井を見つめる。

(このまま、ずっと逃げ続けるわけにはいかない)

 頭では分かってる。でも、心が追いつかない。

 誰にも本当のことを言えない。
 『AIに恋してた』なんて。

 ばかげてる。

 みんなは普通に過ごしてるの?
 それとも「転校生がいなくなった」って騒いでるの?

 もしかして、最初から誰もイーライのことなんて覚えてない?

(……イーライに、会いたい)

 心の奥底から、そんな気持ちが湧いてくる。

 でも、会えない。
 また錯覚して、また傷ついて、また現実を受け入れられなくなる。

 どんなに苦しくても。

(イーライは、存在しないんだ)

 どんなに寂しくても。

(受け入れなくちゃいけないのに)

 でも、確かめる勇気もなくて。

 きっと明日も、学校には行けない。