玄関の鍵を開けると、
「ここどこぉ~?
佐原のおうち?」
夏希は首を傾げて佐原を見上げた。
夏希と目が合うと、
佐原の瞳が妖しく輝き、
唇が焦ったように重なった。
野球ばかりで恋愛と縁がなかった夏希だったが、
ぎこちなくも、優しく温かい佐原の唇に翻弄され、
そのうちに愛しさがこみあげてきた。
「……ん、きもち」
「そんなこというなや、かわええやん」
佐原は夏希の手を引いて、
自分の部屋の扉を開け、
抱きしめるようにしてベッドに押し倒した。
服がベッド下にバサバサと落ちていく。
どちらの服かも分からない。
静かになったので、
うっすら目を開けると、
佐原の引き締まった上半身があらわになっていた。
「ハダカもイケメンなんてずるい……」
と唇を突き出すと、
「かっこええてこと?」
とにやりと笑う。
「知らないっ」
顔を横に向けると、
「かわええな〜」
と、頭をグリグリとかき回される。
「あかんわ。伊藤のやることなすことかわええ……」
と言いながら、チュッとバードキスをする。
「ばかぁ……」
そう言いながら、佐原の首に手を回し、
深く受け入れていく。
犬猿の仲なのに、
酒が入っていたからか夏希も素直に甘え、
佐原も「かわええ」と言いながら、
何度も抱いた。
そうして夜が更けていった。
これが昨日の夜の出来事だ。
