「はー!めっちゃ楽しい!」
ニコニコの夏希。
横にはちょっとぐったりした佐原が座っている。
「えー佐原くんグロッキー?」
「涼司、お茶かなんか買ってきてやるよ」
「……ありがとな」
樹がサッと飲み物を買いに行く。えー私もぉと付いていく彩香。
「……佐原大丈夫?……ごめん、私ばっかり楽しんじゃって」
「いや、あかんのは俺や。意外と子供だましやのうて、グルングルン回るもんやから目が回った……」
「遊園地弱いの?」
「うーん、あんま行かへんから身体がびっくりしてもうたのかもな」
「ちょっと横になりなよ」
バッと佐原の身体を横に倒し、夏希は膝の上に頭を乗せた。
「……!おっ、おい!!」
「いいの!体調悪いときは無理しない!」
慌てて起き上がろうとする佐原を手で押して、無理やり膝枕させる。
夏希はショートパンツなので、頬に直接生足が当たる。
しかし、夏希は体調不良の人を介抱するというモードに入っている。
「……あ`~そういうとこやで」
寝たまま佐原が言う。
「……ん?何が?」
はぁ……とため息をつく。
遠くでは、彩香と樹が手に飲み物を持ったまま隠れて見ていた。
「えーっ、やだぁ、ひざまくらぁ♡……今帰ると、めちゃお邪魔虫になっちゃう」
「うーん、これって意図的?マジで具合悪いんじゃない?」
ときめく彩香と反して、樹は佐原の体調不良を本気で心配している様子だ。
樹の優しさに彩香はキュンとするが、
「……かなぁ。もうちょっと様子見てみよっ」
と明るく返す。
(夏希は分からずやってる気がする〜佐原くんかわいそ……)
「どう?少し落ち着いた?」
相変わらず夏希は優しく佐原に問いかける。
「ゔーーーん」
「だ、大丈夫??」
苦しげな佐原に焦る。
「……そういうことやないわ。……オマエ、こないなことして、何も思わんの?」
膝の上からまっすぐな瞳で見つめる佐原。
夏希は下を向いていたので、眼がバチッと合う。
「……え……えっ!?」
急に恥ずかしくなり、大きな声を出す。
「生足にさ、男のアタマ乗せて、俺の気持ち知っとるくせにいじわるやわ……」
「だっ、だって、具合悪いんでしょ!?」
すると、佐原は怪しく笑い、夏希を見つめたまま、
左手をスッと夏希の生足に近づけた。
「違う意味で具合わるうなるわ……ええ足や……」
愛おしそうに佐原が夏希の足を撫でた瞬間、
「きゃん!!!」
夏希が叫び、佐原の頭を無理やり足から外し、ベンチに叩きつけた。
バンッ!!
「い゙ってえええぇぇぇ!!!」
佐原は衝撃で頭を抱えている。
夏希はすかさず立ち上がり、
「ばぁーっか!!ばあっーか!!」
と、小学生のように喚いている。
彩香と樹は、やっぱり……といいつつ、二人の様子を呆れた顔で見ながら戻ってきた。
