ここは、シャイン王国のパール町。

ルゥは、この町にひとりで暮らしています。


まだ8才ですが、ひとりでも平ちゃらです。

なぜかというと、ルゥは魔女だからです。

魔法を使って、りっぱにお店を切り盛りしています。


ルゥのお店を紹介しますね。

大きな2階建て、中には3階建ての建物が並ぶ通りに、ひとつだけ小さな小屋が隠れるように建っています。

小屋には看板があって、そこに『ルゥのマジカル・ショップ』という文字が。

そう、これがルゥのお店です。

窓の張り紙には、『魔法のことなら何でもお任せください』と書いてあります。


さっそく中に入って見ましょう。

本当ならドアを開けると、ドアについているベルが鳴るのですが、今回は特別に鳴らさないようにします。

ルゥに気づかれないようにね。


入るとすぐに、カウンターが見えました。

カウンターの中には、フード付きのローブを着たルゥがいます。


「わっわっわ! お鍋が吹きこぼれちゃった!」


カウンターの上の水晶玉に、慌てるルゥの横顔が映ります。



ルゥは呪文を唱えました。


【テエキ テエキ】


どうやら、カウンターの内側にあるコンロで、魔法の薬を作っていたようです。

ルゥが呪文を唱え終えると、コンロの火は消えてしまいました。


ルゥは鍋の中を覗いて、ため息を吐きました。


「失敗しちゃった」


たまにはこんなこともあるのです。


「頭痛薬、作り直しだわ」


カウンターの奥の壁に、もうひとつドアがあります。


ルゥは、そのドアを通って、お店の裏へ入っていきました。