「桜ちゃんの彼氏って、もしかして宇田川くん?」



雨が降りだして、本屋の隣のファーストフード店に入り、止むのを待っていたとき、相田が口を開いた。



「…あぁ」

なんか複雑だ。

妹の彼氏だけど、

俺にとっては

好きな人の彼氏。


「やめておいたほうがいいよ」


相田がポテトを食べながら俺を見た。


「なんで?」
「宇田川くん、遊んでるし、私の友達も泣かされたし」

「泣かされた?」
「次々女の子変えるんだよね」


確かに宇田川のイイ噂を聞いたことが無い。


「桜ちゃんは、宇田川くんにとって特別だといいけど」



桜が好きになったんだ。

俺がとやかくいって、桜の気持ちを変えられるわけでもない。


それよりも自分自身の気持ちをなんとか変えなくては。




「ね。今日うち来ない?」

相田が急に誘ってきた。


「は?」
「今日、うち誰も居ないし桜ちゃんも子供じゃないんだから、一人でも大丈夫でしょ?それに…」