野崎くんと一日遊んで帰宅した後、寝るまでの支度を全て終えてから、わたしはベッドにうつ伏せになった。手にはスマホを持って、早速メッセージアプリを起動する。リストから朱李ちゃんを選んで、メッセージを送った。
『こんばんは、朱李ちゃん。今、いい?』
『こんばんは! どうかしたの?』
『実は、今日……』
わたしは朱李ちゃんに、今日野崎くんと一緒に過ごしたことを報告した。細かいところははぶいたし、お店のお手伝いをしたことも省略したけど、大まかには全部。
すると、朱李ちゃんからはスタンプが嵐のように立て続けに送られてきた。全部、ウサギが目をキラキラさせているスタンプ。ざっと数えただけで二十個。さかのぼりはしなかったから、実はもっと多いかもしれない。
「お、多いって」
わたしが『多いって』と入力する前に、朱李ちゃんから次のメッセージが送られてくる。
『いいなー楽しそー! わたしも混ぜてほしかった!』
『あ、でも、邪魔しちゃ悪いか』
ケラケラ笑うリスのスタンプが送られてきて、わたしは即座に返信した。
『邪魔とかないよ! それに、わたしも最初は戸惑ったから……』
『野崎くん的には、人捜しを手伝ってほしかったんじゃないかな? それとも、別のことも言われた?』
『えっと……わたしと遊びたかったって言われた、かな』
今思い出しても、何故か顔が熱くなる。
既読した朱李ちゃんから、ポンッとメッセージが送られてきた。
『……やるねぇ、野崎くん』
でもそのメッセージは、瞬時に消される。え、何で?
『朱李ちゃん?』
『ごめんごめん、誤字った! 女の子とも普通に遊んでそうなイメージだし、遊んでみたかったんじゃない?』
『それが、本人も青山くんも誘いに乗ったことないんだって。ちょっとびっくりしちゃった』
『まじか。意外!』
きっと今、向こう側で朱李ちゃんはケラケラ笑っているんだろう。『あー、おもしろ』と送られてきた後、またポンッと吹き出しが増える。
『水月は? 楽しかった?』
『うん。商店街とかショッピングモールとか行ったから、今度朱李ちゃんと一緒に行きたい』
『いいね、いこいこ! それに、水月が楽しかったのならよかった!』
それからしばらく、来週くらいに遊びに行こうという話で盛り上がった。野崎くんと歩いた商店街で見つけた、可愛らしい雑貨のお店とか、朱李ちゃんと一緒に行きたいな。
『ねぇ、水月。気付いてる?』
『何に?』
『ずっと、野崎くん野崎くんって送ってる。かぁわいい!』
『へ……?』
朱李ちゃんに指摘されて、初めて気付いた。わたし、そんなに『野崎くん』って連呼してる!?
かあっと熱が顔に上がってきて、思わず手を頬にあてた。確かに熱くて、わたしはそこでようやく心臓がドキドキと速く拍動していることを知る。
数分経っていたみたいで、朱李ちゃんからメッセージが送られてきた。
『もしかして、水月、野崎くんのこと意識してる?』
『えっ』
『その様子だと、言ってることと打ってること一緒だな? 何で野崎くんのこと意識してるのか、ちょっと考えてみなよ〜』
そうメッセージを返されて、わたしはふと考え込む。自分でも意識していなかったけれど、どうしてわたしは野崎くんのことを意識してるんだろう。
「野崎くんは、クラスメイトの男の子で……おばあさんのために人を捜していて。……手がかり探しって名目で結局一日二人で遊んで……気遣えてすごいなとか、優しいなとか、かっこいいなとか、思って……あ、れ?」
ボフッと枕に突っ伏す。顔が熱い、心臓がドキドキしてる。待って、待ってよ? わたし、もしかして……。
その時、スマホが着信を告げた。音に驚いて声が出てしまったけれど、電話をかけて来た相手の名前を見て、慌てて通話ボタンを押した。
「も、もしもし?」
「あ、水月? 電話しちゃってごめんね」
通話の相手は、さっきまでメッセージで連絡を取り合っていた朱李ちゃんだった。
「どうしたの、通話なんて珍しいね」
「いやぁ、水月が考えこんじゃったみたいだなって思って。その考えの中で出て来た言葉とか、是非聞きたいなぁって思ったら、通話ボタン押してた」
「押してたって……」
思わず、くすっと笑ってしまう。
だけど朱李ちゃんは「それはそれとして」と言って、弾んだ声で聞いてきた。
「どう? 水月のほんとの気持ちは!?」
「どうって言われても……」
恥ずかしい。そう言って諦めてもらおうと思ったけど、朱李ちゃんはどこ吹く風。「素直になりなよ~」と質問を立て続けにしてくる。
「じゃあ、二人で遊んでみてどうだった?」
「た、楽しかったよ。メッセージでも送ったけど、商店街とか色んな所に行って、見て回って」
「そう言ってたね。じゃあ、野崎くんのことは?」
「野崎くんの、こと……」
野崎くんの笑顔や声色を思い出すと、無意識に顔に熱が集まる。そしてごく自然に、彼への想いが口から零れ落ちた。
「――好き、かもしれない。……あれ!?」
自分でも驚くような言葉だ。思わず手のひらで口を覆うと、電話口の向こう側から「おおっ」という声と共に朱李ちゃんの声が聞こえて来た。わたしは頬が熱くて、枕に顔を薄めた。
「す、すき!? 待って、どういうこ……?」
「聞いたよ、水月!」
それからしばらく、わたしは朱李ちゃんに質問攻めにされた。
『こんばんは、朱李ちゃん。今、いい?』
『こんばんは! どうかしたの?』
『実は、今日……』
わたしは朱李ちゃんに、今日野崎くんと一緒に過ごしたことを報告した。細かいところははぶいたし、お店のお手伝いをしたことも省略したけど、大まかには全部。
すると、朱李ちゃんからはスタンプが嵐のように立て続けに送られてきた。全部、ウサギが目をキラキラさせているスタンプ。ざっと数えただけで二十個。さかのぼりはしなかったから、実はもっと多いかもしれない。
「お、多いって」
わたしが『多いって』と入力する前に、朱李ちゃんから次のメッセージが送られてくる。
『いいなー楽しそー! わたしも混ぜてほしかった!』
『あ、でも、邪魔しちゃ悪いか』
ケラケラ笑うリスのスタンプが送られてきて、わたしは即座に返信した。
『邪魔とかないよ! それに、わたしも最初は戸惑ったから……』
『野崎くん的には、人捜しを手伝ってほしかったんじゃないかな? それとも、別のことも言われた?』
『えっと……わたしと遊びたかったって言われた、かな』
今思い出しても、何故か顔が熱くなる。
既読した朱李ちゃんから、ポンッとメッセージが送られてきた。
『……やるねぇ、野崎くん』
でもそのメッセージは、瞬時に消される。え、何で?
『朱李ちゃん?』
『ごめんごめん、誤字った! 女の子とも普通に遊んでそうなイメージだし、遊んでみたかったんじゃない?』
『それが、本人も青山くんも誘いに乗ったことないんだって。ちょっとびっくりしちゃった』
『まじか。意外!』
きっと今、向こう側で朱李ちゃんはケラケラ笑っているんだろう。『あー、おもしろ』と送られてきた後、またポンッと吹き出しが増える。
『水月は? 楽しかった?』
『うん。商店街とかショッピングモールとか行ったから、今度朱李ちゃんと一緒に行きたい』
『いいね、いこいこ! それに、水月が楽しかったのならよかった!』
それからしばらく、来週くらいに遊びに行こうという話で盛り上がった。野崎くんと歩いた商店街で見つけた、可愛らしい雑貨のお店とか、朱李ちゃんと一緒に行きたいな。
『ねぇ、水月。気付いてる?』
『何に?』
『ずっと、野崎くん野崎くんって送ってる。かぁわいい!』
『へ……?』
朱李ちゃんに指摘されて、初めて気付いた。わたし、そんなに『野崎くん』って連呼してる!?
かあっと熱が顔に上がってきて、思わず手を頬にあてた。確かに熱くて、わたしはそこでようやく心臓がドキドキと速く拍動していることを知る。
数分経っていたみたいで、朱李ちゃんからメッセージが送られてきた。
『もしかして、水月、野崎くんのこと意識してる?』
『えっ』
『その様子だと、言ってることと打ってること一緒だな? 何で野崎くんのこと意識してるのか、ちょっと考えてみなよ〜』
そうメッセージを返されて、わたしはふと考え込む。自分でも意識していなかったけれど、どうしてわたしは野崎くんのことを意識してるんだろう。
「野崎くんは、クラスメイトの男の子で……おばあさんのために人を捜していて。……手がかり探しって名目で結局一日二人で遊んで……気遣えてすごいなとか、優しいなとか、かっこいいなとか、思って……あ、れ?」
ボフッと枕に突っ伏す。顔が熱い、心臓がドキドキしてる。待って、待ってよ? わたし、もしかして……。
その時、スマホが着信を告げた。音に驚いて声が出てしまったけれど、電話をかけて来た相手の名前を見て、慌てて通話ボタンを押した。
「も、もしもし?」
「あ、水月? 電話しちゃってごめんね」
通話の相手は、さっきまでメッセージで連絡を取り合っていた朱李ちゃんだった。
「どうしたの、通話なんて珍しいね」
「いやぁ、水月が考えこんじゃったみたいだなって思って。その考えの中で出て来た言葉とか、是非聞きたいなぁって思ったら、通話ボタン押してた」
「押してたって……」
思わず、くすっと笑ってしまう。
だけど朱李ちゃんは「それはそれとして」と言って、弾んだ声で聞いてきた。
「どう? 水月のほんとの気持ちは!?」
「どうって言われても……」
恥ずかしい。そう言って諦めてもらおうと思ったけど、朱李ちゃんはどこ吹く風。「素直になりなよ~」と質問を立て続けにしてくる。
「じゃあ、二人で遊んでみてどうだった?」
「た、楽しかったよ。メッセージでも送ったけど、商店街とか色んな所に行って、見て回って」
「そう言ってたね。じゃあ、野崎くんのことは?」
「野崎くんの、こと……」
野崎くんの笑顔や声色を思い出すと、無意識に顔に熱が集まる。そしてごく自然に、彼への想いが口から零れ落ちた。
「――好き、かもしれない。……あれ!?」
自分でも驚くような言葉だ。思わず手のひらで口を覆うと、電話口の向こう側から「おおっ」という声と共に朱李ちゃんの声が聞こえて来た。わたしは頬が熱くて、枕に顔を薄めた。
「す、すき!? 待って、どういうこ……?」
「聞いたよ、水月!」
それからしばらく、わたしは朱李ちゃんに質問攻めにされた。
