「あんなに楽しそうな顔、久しぶりに見た気がするよ」
「…そうね」
「きっと、いい友達に出逢えたんだな」
「きっとね…。今のあの子、今までで一番活き活きしてるもの。…この選択をして良かったって、今は心の底から思えるわ」
「…そうだな」
玄関に向かった私を見ながら、お母さんとお父さんが、そんな会話をしていることに気づかないまま、私は家を出た。
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たくさんの人が今日を心待ちにしていたのだろう。
お祭りが行われる場所に行く途中も、浴衣や甚平をきた若い人やカップル、親子連れやお年寄りまで、数えきれないくらいの人が自分と同じ方向に向かっていく。
待ち合わせの場所に近づくと、中島くんの姿が見えた。
いつもは制服姿の中島くんだけど、今日は初めて見る私服。
いつもとはまた違った雰囲気に、ドキドキが止まらない。
「中島くん」
声をかけると、中島くんは目を瞠って、なぜか固まっている。
視線の先は、私の浴衣。
「…あ、これねお母さんが着付けてくれたの。私浴衣って初めて着たんだけど…変、かな」
なんだか恥ずかしくて、私は浴衣の袖を掴んだ。
「……いや、違う…その…」
中島くんが、口元を手で覆う。耳まで、真っ赤になっていた。
「……すげー、可愛い…」
蚊の鳴くような声がした。
「ほんと?良かった」
私は小さく微笑み返す。
「…行こう」
「うん」
中島くんの横を一緒に歩き出す。

