蛍火のような恋だった



そのうち、湊くんははしゃぎすぎて疲れてしまったのか、ソファですやすやと寝息を立て始めた。

誰もいない家に湊くんをひとりはできないため、見送りは家の前まで。

「家まで送れなくて悪い…」

夕焼けが真っ赤に燃える空の下、向き合う私たち。

「ううん、全然。今日はありがとう。すごく楽しかった。また、湊くんに会いに来てもいいかな」

「あいつ、すごく喜ぶと思う」

「…うん。じゃあ、また明日」

「岸田」

くるりと向きを変えて歩き出そうとしたとき、中島くんに呼び止められた。

「……何?」

振り返った私は、静かに尋ねる。

ぎゅっと拳を握って、何かを決心したような、まっすぐな瞳。

心臓が、ドキッと鳴った。

「…この間は、ごめん。俺…岸田が好きだ。初めて君に逢ったときから、ずっと好きだった」

「……え」

周りの音が、自分の鼓動にかき消される。

「返事は、いますぐじゃなくていい。…あのさ、今週の土曜日の夜、七夕祭りがあるんだ。それ、一緒にいかないか?」

学校の廊下にあったポスターを思い出す。

「その日に返事もらえたら、嬉しい…」

耳まで、真っ赤にしている中島くん。

…どうしよう。ものすごく、嬉しい。

嬉しいけど、一番大切なことを、私はまだ伝えていない。

それを伝えたとき、全てが終わってしまうのが、どうしようもなく怖い。