蛍火のような恋だった



ふわりと、彼の手から放たれたボールが宙を舞い、次の瞬間、軽快な音を刻みながら足の甲で弾まされる。

ーー右、左。

リズムよく繰り返される動きは、落ちることなく空中を漂い続ける。

「……こんな感じ」

上げたボールを両手でキャッチして、少し照れたように言う。

――“今度、中島くんのリフティング、見せてくれる?"

あのときの自分の声が、頭の奥でよみがえる。

もしかして、そのために今日…?

「そういえば兄ちゃん、ここ最近ずっとリフティングの練習してたよね」

「……え?」

湊くんの言葉に、私は中島くんを見る。

横目でそっぽを向きながら、中島くんは頬をかいた。

その仕草を見て、胸の奥がじんわり熱くなる。

「すごいね……私もやってみてもいい?」

なんだかやってみたくなって、中島くんに尋ねる。