蛍火のような恋だった


「…ごめん。下に置きっぱなしになってたから」

「別に、怒ってない。ただ、人に見せられるような絵じゃないから」

中島くんが差し出すスケッチブックを受け取って、パラパラとページをめくる。

「顔色悪いけど…具合、悪いのか?」

「別に、いつも通りだけど」

中島くんに気づかれないように、ポケットに入れていたピルケースをカバンに入れる。

さすがに顔色までは誤魔化せないけど、私は気づかれないように嘘をつく。

今日はもう絵を描く気にもなれなくて、スケッチブックをしまった。

「…本当に、ごめん」

中島くんの言葉に、カバンのチャックを閉める手を途中で止めた。