蛍火のような恋だった


それから10分くらい経つ頃には、激しい動悸の波も、正常に戻りつつあった。

一度大きく深呼吸をして、立ち上がる。

そのまま、駆け降りてきた階段を再び登って、屋上へと向かった。


慌てて飛び出して行ったから、扉は開きっぱなしになっていて…そこには私の期待していた人の、後ろ姿。

立ったまま、手元に持った何かをじっくりと見ている。

けど、すぐに私の気配に気づいたのか、何かを背後に隠すような仕草をしてこっちを向いた。

隠したつもりなんだろうけど、バレバレ。

「……見た?」

「……別に、何も…」

あれだけわかりやすく隠したのに、一度目はとぼけてみるらしい。

「嘘。見たでしょ?君が今、後ろに持っているもの」

その言葉に中島くんは諦めたのか、隠していたスケッチブックを取り出した。