蛍火のような恋だった


息がうまく吸えない。

心臓がドクドクと音を立て、全身に熱と痛みが波のように広がっていく。

私は持っていたスケッチブックを半ば投げ捨てるように手放した。

慌ててバッグに手を伸ばし、震える指先で薬のケースを探る。

「っ……あった……!」

錠剤を取り出し、口に放り込む。

でも、水がない。

心臓の痛みが激しくなる前に、一階下の水道まで駆け降りる。

喉に張りついた薬を、やっとのことで水で流し込むと、背中を壁に預けて、その場にしゃがみ込んだ。

「……はぁ、はぁ……」

胸がキューっと締め付ける感じはまだするけど、早い段階で薬を飲んだから、この前みたいに死にそうになるくらいの痛みにはならずに済んだ。