蛍火のような恋だった


✳︎

この学校の生徒はみんな元気が有り余っているのか、保健室にくる生徒はほとんどいない。

たいてい、先生とふたりきり。

それでも先生はいつもせわしなくボールペンを動かしていて、それなりにやることはあるらしい。

授業が始まって30分。

なんだか今日はいつも以上にやる気がわかなくて、先生から出されていた課題の半分も終わらないうちに、すでに撃沈していた。

頬杖をつきながら意味のない落書きをノートに描いていく。

ギギッと、少し錆びた椅子の音がして、私は顔を上げた。

先生が椅子を引いた音だ。

「岸田さん、私ちょっと用事足しにここ空けるけど、すぐに戻るから」

「はい」

先生が扉を閉めて、再び保健室は静寂に包まれる。