蛍火のような恋だった


峯岸くんと話す私に、それを黙って聞いている中島くん。

信号が青になって歩き出す。

「そんで俺らの担任がまたうるっせーの。……あ、雨止んできた」

峯岸くんが傘を傾けて、空を見上げる。

まだ黒々とした雲が広がっているけど、ところどころから青い空が顔を覗かせている。

「これならもう傘いらないな」

峯岸くんはどこか試すような言葉をかけたが、表情ひとつ動かさない中島くんをつまらなそうに横目で流す。

私も雨の降り具合を確認して、傘を閉じた。

「蛍ちゃん、優しいよなあ。こんな表情筋皆無の凪を傘に入れてやるなんてさ」

「…蛍ちゃん…?」

峯岸くんに、いきなり名前を呼ばれて少し呆気に取られる。