それからしばらく歩いて、信号で止まった時。
「あれ、凪じゃん!」
少し前に立っていた黒い傘を刺した人が振り返って、驚いたような声を上げた。
その人の顔を見て、私は見覚えのある顔にはっとする。
「って、凪、お前何女子の傘に入れてもらってんだよ!これってあいあいが、んごっ」
「黙れ」
中島くんはその人の口を勢いよく塞いだ。
と、もがいているその男子と目があって、向こうも何かはっとしたように動きが止まり、何度か瞬きを繰り返す。
「もしかしてこの間のお姉さん!?」
雨にも負けない大声を上げたのは、裕也だった。
「こんにちは」
私は笑顔を返す。

