蛍火のような恋だった


「え、なんだなんだ!?」

その声にびっくりしたように、裕也と呼ばれていた男子がこちらを振り向く。

ふたりに傘がぶつかりそうになった瞬間ーー。

「凪、ナイスキャッチー!」

歓喜の声が、こだました。

一瞬、何が起きたのかわからなかったけど、何度か瞬きをしているうちにやっと状況を飲みこめた。

傘は、ふたりに当たることなく、ナイスタイミングでキャッチしてくれたらしい。

「よかった…」

私はひとり、安堵のため息をつく。

先では、「お姉さーん、俺たちは無事だよー」と裕也が手を振っている。