蛍火のような恋だった


「あの、私」

授業終了のチャイムと私が話そうとしたタイミングが綺麗に重なって、多分先生には聞こえなかったのだろう。

「ああ、チャイム鳴ったな。ま、岸田また考えておいてくれ。よーし、お前たち一旦席付けー」

みんなが席に戻っていく間、私はただぼんやりと自分の絵と向き合っていた。


本当は、部活にも入りたいしコンクールにだって出たい。

自分に、もっと長く時間が残っていればなあ…なんて、心の中で思っていたりして。

日常のささいなことで、こうやって自分の状況を思い出す。

残りの時間は全部楽しく、自由に過ごしたいーー自分で決めたくせに、どこかそう思い切れない自分もいて、嫌になる。



周囲の声が耳に入らないくらい物思いにふけっている私を、中島くんが遠目に見つめていたのことに私は気づかなかった。