蛍火のような恋だった


質問攻めにあっている先生は考えるように腕を組んで、眉根を顰めている。

確かに、名前あるのかな…?

私も少し疑問に思ってはいた。

「とにかく!今は美術の時間だ、今やることに集中しなさい」

先生は結局質問に答えることなく、半ば無理やりに会話を終わらせた。



「わあ、岸田さん上手だね!」

それからしばらく絵を描くことに熱中していた私は、誰かの声に、びくりと肩を震わせた。

すっかり夢中になっていて、近づいて来た足音にさえ気づかなかったらしい。

声をかけてきたのは、山田さん。

「すごい!こんなに上手な絵、見たことないよ」

「ありがとう」

なんだか恥ずかしくなって、肩をすくめてお礼を口にする。