蛍火のような恋だった


毎日うだるような暑さが続いているから、男子の訴えもよくわかる。

けどこの中学は珍しくプール自体がないから、夏恒例のプールの授業はない。

だから毎年夏になるとプールを作って欲しいという要望が殺到するらしい。

でも、それが私にとっては有り難くもある。

「おいおい、お前たち口ばかり動かしとらんで、少しは手を動かしたらどうだ?」

美術の先生が呆れたように男子たちを注意する。

「俺絵心ないんで絵なんて描けないっすよー」

そんなやりとりを聞きながら私は鉛筆を動かし続ける。

デッサンの題材は美術室によくある、石膏像。

「せんせー、この像ってなんて名前なんすかー?」

「うーむ、名前は…なんだったかなあ」

「はいはーい!なんで腕ないんですかー?」