蛍火のような恋だった

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まさか、扉が開くとは思ってもいなかったけど、私は躊躇うことなく目の前に広がる屋上に飛び出した。

「……きれい……」

ぽつりとこぼれた言葉と同時に、ふっと肩の力が抜けた。

鞄がストンと足元に落ちたけど、そんなこと、今はどうでもよくて。

私は駆け出すように欄干へ近づいた。

視界いっぱいに広がる、まるで絵みたいな景色に、思わず息をのむ。

風がそっと頬をなでて、髪を優しく揺らす。

その風を受けとめるように、私は目を閉じて深呼吸した。

ここなら、イヤなことも、泣きたくなる気持ちも、ぜんぶ風がさらってくれる気がする。

「ふふっ。いい場所、見つけちゃったかも」